** 私の生きる道 **

社会的養護を考える人です。社会に伝えたい事。

児童養護施設など社会的養護のもとで暮らす高校生へ。「大学進学を最初から諦めないで!」〜大学等進学の奨学金について

Twitterで多く目にする高校生のメッセージ。

将来は大学進学は無理、就職しかない、大学なんて行けない。

奨学金を取るのは難しい。返すのも難しい。選択肢は就職しかない。

 

多くの高校生が大学進学を考える事なく、諦めています。

モチベーションの問題もあるでしょう。

けれど、多くは、経済的な理由。

施設を退所して、自分で生活を成り立たせないといけないのに、大学に行くお金なんてない。

アルバイトと学業との両立なんて自信がない。

施設から大学に行った先輩を数人知ってるけど、みんな中退してる。

それなら就職する方がいい。

 

本当にそうでしょうか?

 

大学に行きたいけれど、どうせ無理でしょ?と

夢も希望も見れないで居る女の子に出逢い、私は調べました。

そして、実は給付型(返済しなくても良い奨学金で、採用基準が高くない、概ね申請すればもらえる社会的養護における奨学金が多くある事を知ったのです。

 

この記事は、その奨学金の紹介です。

5月19日に東京都内で行われた自立支援コーディネーター委員会主催の学習会に参加させて頂きました。

以下、参考になさって下さい。

そして、是非、あなたの暮らす施設の職員さんに相談してみて下さい。

多くの職員さんは、「両立は難しいよ。」と言われるかもしれません。

でもこれらの奨学金を併用して活用すれば、自己負担は軽くなります。

尚、以下のものは全て、全国で受給出来る奨学金です。

 

 

児童養護施設などの大学等進学の為の奨学金

 

受給可能性が高いもの(返済義務のない給付制度)

 

大学進学等自立生活支度費(国による補助)

<実施者>各都道府県及び指定都市

<給付内容>支度費   81,260円(2016年度)

      特別基準分 194,930円

      計     276,190円<対象>

・支度費は、措置解除後、大学等や各種学校に修学する者

・特別基準分は、上記に加え、保護者がいないか、いても適切な養育ができず、経済的援助が見込めない児童について施設長、里親、児童相談所長の意見に基づき、各都道府県及び指定都市が要否を判断。

<備考>

・生活諸経費等に対する一時金的補助であり、基本的に他の奨学金受給を妨げる性質のものではない。

 

雨宮児童福祉財団修学助成(全国)

<実施者>財団法人 雨宮児童福祉財団

<助成内容>入学金実費分

<対象>全国の児童福祉施設に入所している児童及び里親のもとにいる児童で、高校卒業後進学を希望し、大学等や専門学校に合格した者の内、他の機関から返済義務のない入学金の助成を受けていない者。

 

JX児童養護施設・母子生活支援施設奨学助成(全国)

<実施者>社会福祉法人 全校社会福祉協議会

<助成内容>新入学時に10万円を助成。他の奨学金との併給可。

<対象>高校卒業後、大学等や専門学校等に進学を予定している児童で、全国の児童養護施設および母子生活支援施設、里親家庭に入所している児童、及び退所した児童。

 

4.日本学生支援機構奨学金(全国)

  →進学後、学校を通じて申し込む

   4万円/月 入学時給付金24万円が一度支給される。

 

5.アトム基金 進級応援助成制度(全国)

 <実施者>全国児童養護施設協議会

 <助成内容>進級時に3万円を助成

 <対象>下記①〜③の全てを満たす者

 ①児童養護施設に入所していた児童で、高等学校卒業後、大学・短期大学・専門学校等に進学し、その後、当該進学先の2年時以上に進級した(する)者(措置継続により入所中の者も対象)

 ②過去にアトム基金進級応援助成を受けていない者

 ③入所していた児童養護施設と連絡をとることが可能な者で、児童養護施設を通して助成金を受け取ることが可能な者

 

 

その他、都道府県が行っている奨学金制度もあります。

児童養護施設出身者のための奨学金助成実施大学も全国にあります。

 

 

また、下記のように貸付制度でありながら、返済が免除になるケースもあります。

 

受給可能性が高いもの(貸付制度→返済義務あり)

 

厚労省児童養護施設退所者に対する自立支援資金貸付事業)(全国)

 ①生活支援費→5万円/月

 ②家賃支援費→一ヶ月の家賃相当額(管理費および共益費を含む)     

 ③資格取得支援費→25万円を上限とした費用の実費

 いずれも貸付制度のため、返済義務があるが、

 ①および②は、5年間の就業継続、③は2年間の就業継続で変換が免除となる。

 <対象>

児童養護施設等を退所した者または里親等の委託を解除された者のうち、保護者等からの経済的な支援が見込まれない者で、大学等に在籍する者

②上記進学者の他、就職している者

③入所児童等で、就職に必要となる資格の取得を希望する者。施設等退所後4年以内で大学等に在籍する者を含む。

都道府県の児童養護施設担当課にお問い合わせ下さい。

 

 

以上の奨学金で賄えない部分は、アルバイトをしたり、下記の奨学金等を活用します。

 

2.日本学生支援機構奨学金(全国)

<実施者>独立行政法人 日本学生支援機構

<貸付内容>

・第1種奨学金(無利息) 月額45,000円〜64,000円

   返済機関限度 10~14年

   それぞれ進学する学校種別、自宅通学か否かで異なる。

・第二種奨学金(利息付) 月額30,000円〜100,000円(選択)

   利息は年利3%を上限に変動(在学中は無利息)

<備考>入学後の申し込みは入学した学校の奨学金窓口に申し出る。

 

 

 

 

ここでご紹介した奨学金は、あくまでも受給可能性が高いもののみですので、

奨学金制度としては給付型、貸付型ともに他にもたくさん、種類があるのです。

一人一人に合った大学進学への経済的なシミュレーションは、簡単なものではないかもしれません。しかし、これらの奨学金制度があるのを知らずに、選択の余地をなくすのはもったいないです。

 

但し、大学進学が全てではなく、答えは一人一人にあるもので、誰かを否定したりするものではないです。

それぞれの縁があり、それぞれの時代、世界を生きてると思っています。

私は機会均等、格差是正を唱えたい。それは私の今感じてる個人的な想いです。

一般的な大学進学率は76.8%、児童養護施設等からの進学率は22.6%(2013年)

その格差もしかり、施設間格差もしかり。

未来は自分で作るもの。その選択肢を狭めて欲しくはないのです。

そして、社会的養護における奨学金を多くの人が使う事で、需要がそれだけあるという事を社会に広めて、社会的養護に対する理解を求めていきたい、と思います。

 

施設出身者が、退所後大人になっても、更に更に生きやすい世の中へ。

どんな形であれ(大学進学でも高校卒業後就職でも)長く続けられる仕事に就く事が出来たなら・・・退所後の長い人生に光が差すと思うのです。

人生は、施設で暮らしている期間よりも退所してからの方がもっともっと長いのです。

だから難しいかもしれないけれど、高校生の年代は、その後の人生を考えるとても大事な時期だと思っています。

 

 

施設在籍者、出身者の皆さんを応援しています。